山と写真と毎日と

アラフィフのおっさんが趣味の登山・写真・日常を綴るブログ。

「アメリカは何でも高い!」とネガティブ発言する前に日本の置かれてる状況を見つめるべき。

こんにちは、GreenFielderです!

昨日出社したら富士山、箱根山丹沢山塊がとても綺麗に見えました。

横浜の社窓から。

「こんな日に丹沢を登ったら爽快だろうな〜」と思いながらもそんな休日は訪れない今日この頃。。勉強を頑張ってる娘を見てると流石にそんな愚痴を言うことすら憚られます。ここは我慢あるのみ、です。

さて、先日以下のブログ記事を拝見しました。そしてご意見に全く同感!

snyc.hatenablog.com

この記事に触発された私は、日本が置かれている状況とその要因についての考察を書いてみようと思い、筆をとった次第です。

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コロナ後の急激な世界的インフレが進み、私も仕事の中で色々な「Unknown」に苦労しました。

今日本を騒がせている大阪万博の建設予算過小問題は、既に日本以外の国々でも直面している問題です。

私の担当市場であるアメリカも例に漏れず、同じ規模のインフラ工事コストは10年前の3倍に膨れ上がり、入札価格のターゲット設定においても公的な物価指標だけでは測れない状況で、施主側もインフラ予算の見直しを迫られています。

このような世界的な物価急騰により人件費も一気に上昇。それは以下のようなサイクルを経ることで成立しているのであろう、というのが私の考えです。

物価上昇→リビングコスト上昇→賃金増額圧力→人件費上昇→購買力上昇→モノの値段上昇→更なる物価上昇

でも、このサイクルが回るには一定の条件があると思ってます。それは以下の二つ。

①経済原理が働く社会文化

②人材流動性

 

経済原理が働く社会文化とは、経済原理に忠実で、需給バランスによってモノの価格が柔軟に変動することを許容する社会文化のことを指します。

具体的に言うと、例えばアメリカの場合、物価が上がると、或いは物価上昇トレンドに入ると、嗜好品・生活必需品に関わらずモノの値段はすぐに上昇します。これらを提供する企業としては利益を追求するわけですから、まずは価格転嫁を考えるわけです。

これが日本の場合どうかと言うと、皆さんもニュースなどで見ると思いますが、代表的な食品を値上げするたびにいちいち「〇〇社は〜の価格を△△円値上げすると発表した」といったようなことが報道されます。そして企業はいちいち「なぜ値段据え置きできないのか」を説明しなければならないのです。それくらい、「価格転嫁=悪」のような社会文化があるわけです。

こんなこと、アメリカではニュースになりません(少なくとも私は見たことがない)。

日本の場合、価格転嫁の前にまず企業努力でコストを抑えることを考えるわけですが、アメリカの場合は「まず価格転嫁」。逆に物価が下がれば値下げも行われます。

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少し話は逸れますが、私の感覚的に、アメリカは良くも悪くも経済原理に忠実な経済だと思います。一方で日本は経済原理では説明できない事象が発生します。

私がアメリカのスーパーで最初に驚いたのは、「BOGO」(「ボゴ」と読みます)と呼ばれる販促方式です。正式には「Buy One Get One (Free)」です。そう、「一つ買ったらもう一つ(タダで)もらえる」ってやつです。これってつまり、1個を半額にするよりBOGOの方がメリットがあるからそうするわけですね。理論上後者の売り上げは前者の倍になり、同じ利益率なら利益額が倍になりますよね。そして、出荷量が倍になれば、ボリューム効果でコスト単価も安くなる。

もう一つアメリカのスーパーで驚いたのは「ダース箱入り飲料の単価の安さ」。日本って、箱買いすると単価が安くなる、という販売方式を(少なくとも店頭では)あまり見かけません。アメリカではむしろ箱買いが普通で、例えばコカコーラの350ml缶の1ダース箱を買うと、単価は当時だいたい60セント/本くらいでした(注:5年以上前の記憶です)。これを1本買いすると、確実に1ドルは超えてきます。

日本はどうでしょう?一本でも箱買いでも単価は同じ。というか「箱買い価格」の設定が無い場合が殆どですよね。

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次に②人材流動性」についてですが、こちらは「賃金増額圧力」に関連します。

日本は伝統的に「終身雇用・年功序列」の文化でした。従業員は会社に忠誠を尽くして働き、会社は定年までの雇用を従業員に約束することで、双方にメリットがあったわけです。ところが、この方式をとっているがゆえに日本は他国に比べ人材流動性に乏しく、併せて賃金の増減調整が難しくなっています

これを前提とすると、企業としては物価高騰により従業員からの賃金増額要求があったとしても、タイムリーかつインフレ率に順じた賃金増減に慎重になってしまうのです(一度賃金を上げてしまうと下げられない)

もし企業が賃金増額に応じないと、アメリカでは従業員はより給与の高い企業へ転職していきます。そうすると賃金を上げない企業から人材がどんどん流出してしまうため、企業は経営に影響が出るような人材流出の前に手を打つ(つまり賃金を上げる)ことになるわけです。その代わり、デフレ局面になれば、賃金は下げ方向で調整されることになります。

これまでの20年ほどは日本はインフレの無い時代でしたが、さすがにコロナ以降はそういうわけにもいかなくなりました。一方で上記理由から賃金上昇が追いついておらず、実質賃金はマイナスを続けています

要するに、「海外のモノが高い」のではなく、日本だけがグローバルなインフレ環境に追いついていないのです。

したがって、「海外のモノは大した品質でもないのにバカ高い」というのはイコール、「日本は必死に品質の良いものを努力して作ってるのに安い値段で売って損をしている」ということなのです。

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明るい兆しがあるとすれば、ここ10年ほどで日本も人材流動性が高まってきていることです。アメリカほどではないものの、日本企業も中途採用を始めた企業がかなり増えて、また20〜30代の若い人々は、転職に対しネガティブな印象を持っていないように見受けます。

そして、いくつかの大手企業でも物価高騰を賃金に反映するケースが増えてきています。おそらくそうでもしないと若手が転職してしまう、という危機意識があるがゆえでしょう。

このようなかたちで日本の平均賃金がインフレに追い付き、「働けど我が暮らし楽にならざりじっと手を見る」という状態が解消されるべきだと思っています。現在日本円はどの通貨に対しても弱くなっています。これは日本が世界のインフレから取り残されているからだと思っています。

 

・・・てなことを書いているうちに、ビックマック指数」の記事が出てました。なんとタイムリーな。。

www.fnn.jp

世界の物価水準をはかる指標として、世界展開しているファストフード・チェーンの代表メニューであるビックマックの単品価格を使う、というやつです。

世界一物価の高いスイスの1000円オーバーは別格としても、アメリカでさえ850円、つまりビックマック・セットなら平気で1000円を超えるわけです。これに対して30円値上げしただけでこれだけ記事が溢れる日本のビックマックは世界44位と、だいぶお安いことが分かりますね。

ビックマック一つとっても、従業員の質の高さに裏打ちされ品質は世界でもトップクラスだと思います。なのにその価値が世界44位とは悲しいではないですか。。日本の人材流動性が増し、賃金調整余地が高まって、賃金増額が物価上昇に追いついていくことを望んで止みません。

 

最後までご覧頂きありがとうございました!

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