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アラフィフのおっさんが趣味の登山・写真・日常を綴るブログ。

日本企業に「グローカリゼーション」は無理なのか? 〜挫折から新たな挑戦へ〜

こんにちは、GreenFielderです。

今年に入り何度となく出張で通ったニューヨーク。しかし、その成果が出ることはありませんでした。。

私がチャレンジした同地での建設工事の入札、始まりは2019年末に遡ります。

そこから3年半、途中にコロナ禍による中断を挟み、更に案件をめぐる社内外での紆余曲折を経て何とかここまで継続してきましたが、最後は入札断念という結果に終わりました。

2022年春に一度は入札したものの入札キャンセルされ、入札範囲が変更されて再度の入札チャレンジでしたが、結局最後の断念理由は「現地ユニオン(労働組合)問題」でした。

米国のユニオンについては、確かに沢山のニュース記事で(現地メディアであっても)否定的に書かれることが多いのは事実です。やれ「港湾の労働者組合がストライキ決行で港の貨物が長期間滞留」とか、やれ「某市内の鉄道事業者の従業員がストに突入して賃金交渉」とか。

日本のような、会社側に追従するような「御用聞き組合」とはだいぶ違う「硬派」であることは事実です。

この入札過程で私は、社内は勿論他の日系企業複数社からも米国ユニオンの経験・対策についてヒアリングを行い、どうすれば社内の「ユニオン懸念」を払拭できるのか調査してきました。その中で分かってきたのは、日系企業の殆どが、ユニオン問題に関わるようなビジネスを避けてきている、ということでした。避け続けているから経験が無い。経験が無いから知識も無い。だから「コントロールできない」「怖い」という意見が大半を占めているのです。多少なりともユニオン経験がありそうな日系企業は「買収した企業が元々ユニオンを使っていた」ケース。それも、買収後も被買収企業に権限を与えて、その企業運営に日本人が関与しない場合が殆どでした(あくまで私が知る範囲では、ですが)。

さて、私が取り組んできたそのプロジェクトの入札チャレンジですが、私の所属する部門の幹部までは、ユニオンに関する調査結果とその対策案を説明して認めてもらえたのですが、残念ながら本社幹部に一蹴され、取り組み断念せざるを得ない、との結論に至りました。

 

ここに至って私は思ったのです。

「日本企業で、真のグローバル・カンパニーといえる会社は有るんだろうか?」

私の中での「グローバル企業」の定義は、母国を中心軸に据えず、適切なリソースを適切な国々に配置し、各国・地域に現地人中心の経営陣を配して企業文化の「ローカライゼーション」を行う。ビジネス上の造語で言うとグローカリゼーションを行っているのが真のグローバル・カンパニーだと思っています。日系でそういう企業のなんと少ないことか!

勿論、先述の通り、買収した企業の経営陣がそのまま現地経営を引き継ぎ、現地の文化に根ざしたビジネスを行う日系企業は有りますが、そういう企業に限って「ガバナンス」すらやっていない「放置」状態で有ることが多いように思います(あくまで私見です)。

私はよく社内で「米国のプロジェクトに携わるのを嫌がる」人をよく見かけます。その理由は誰も明言しないものの、おそらく「米国人と対等にコミュニケーションできる自信がない」からじゃないかと思っています。私の属する会社は、一応海外プロジェクト経験者が豊富にいる企業、ということになっていますが、実際には「海外=アジア」であることが多いのです。

アジアでは、日本企業に対して一定のリスペクトが有りますし、先方も英語は「第二言語」なので、おそらくコミュニケーションはし易いでしょう。それに対し北米や欧州などではそういうわけにはいきません。先方は「当然自らと同じレベルのコミュニケーション能力を有している」前提で話してくるので、スピードについていき、かつタイムリーに「yes」「no」「because」を返していく必要があります。そのためには、協議の前に話の流れや相手の反応を十分予測し、しっかりリハーサルして臨む必要があり、結構手間が掛かります。しかも、欧米ではトップ同士が活発に議論を交わすのが当たり前で、日本のように「偉い人間は会議中ふんぞり返って、最初か最後に一言決められた言葉を話せば良い」という日本的方法論が機能しませんので、偉い人の方がプレッシャーが掛かるのです。

そしてなによりも、我々が「アジア人」であることを意識して会話しなければなりません。誤解を恐れずに言うと、欧米人、特にドメスティックな顧客にとって、アジア人は「格下」という印象からスタートします。なので、長い付き合いをするビジネスの場合は、自らが「対等」であることを相手に意識付けする必要があると思っています。そのためには理詰めで主張すべきを主張し、ただ相手方の意見も真摯に聞き、相手自身をリスペクトする、といったやり方が必要なのです。

そして、私の中では、これは日本の経営者が恐れるユニオンについても同じなのではないかと思います。結局は十分なコミュ力・理詰めの主張・相手方へのリスペクト、の3つがあれば、恐れるような事態は起こらないと信じています。

きっと、日本企業の中にも欧米人と対等に渡り合い、心の通ったコミュニケーションを通じて「真のパートナー関係」を築けているケースもあると思います。欧米企業・顧客とのビジネスは、苦労も多いけど苦労の末に勝ち取る対等のパートナーシップと、その結果としてのプロジェクト成就が「仕事の醍醐味」だと思っています。なので私は、私の後輩達にそのような経験が出来る機会を与えてあげたいな、と思っています。今回のニューヨーク地区でのチャレンジは失敗に終わりましたが、再び米国のどこかで新たなプロジェクトの入札にチャレンジしていきたいな、と思っています。

 

・・・でもその前に、長らく行けていなかった日本の山に繰り出して、リフレッシュもしたいな、と思ってます!そして、山の中を歩きながら、あるいは下山後の温泉で湯に浸かりながら、「次のチャレンジ」に想いを巡らせてみようかしらん?(笑)

 

最後までご覧頂きありがとうございました!