山と写真と毎日と

アラフィフのおっさんが趣味の登山・写真・日常を綴るブログ。

【雑感】見えるリスクと見えないリスクと。

こんにちは、GreenFielderです!

今回は、以下の方のブログを読んで、ふと思い立ったことを書いてみたいと思います。

【奥多摩・鷹ノ巣山】酷暑の奥多摩山歩き。アブにやられてさあ大変! - sunsun fineな日々

つい先日私が登った鷹ノ巣山についての記事があり、鷹ノ巣山直下の避難小屋で一泊して撮影した美しい星景早朝のブルーアワーの富士遠望の写真が掲載されていて、「いいなー、僕もそんな風景をこの手で写真に撮り収めたいなー」と強く思いました。

しかしながら、我が家の上司(妻)は山中泊を認めていません。理由は「危ないから」。。

そりゃあ、厳冬期のアルプスの稜線でテント泊する、となれば、私でも止めます(笑)。例え天気予報で快晴でも、山の天気は変わりやすく、また気温や風速も予想がしづらく、最悪の状況が発生する可能性も高いからです。

でも、鷹ノ巣山のような比較的標高の低い山で且つ立派な避難小屋がある場合や、有人の山小屋がある場合はそこまで危険とは思わないのです。ただ、それはあくまである程度山を知っている「私」の感覚であり、山を知らないインドア派の人(妻)にとっては、「山の中で夜を過ごす=危険」という思考回路になってしまうのでしょうね。

山中泊を掛け合っては喧嘩になる、の繰り返しで、今は一旦説得を諦めておりますが、ずーっと山中泊の機会は狙っております 笑

ちなみに、「麓の宿に泊まる」「未明から登り始める」ことについては何度か(渋々ながらも)許可を得たことがあります。私からすれば、そして登山の知識がある人からすれば、「ナイトハイクの方が危険なのでは?」と思うことでしょう。はい、私もそう思います(笑)が、許可さえもらえれば、後はそのナイトハイクの危険をどうコントロールするか、は私自身が考えれば良いこと。

ナイトハイクする場合は、事前に歩いたことのあるルート、或いは危険箇所が無いことが明らかなルートを選び、熊鈴を付け、ヘッ電とGPS、そしてそれらの予備電源もしっかり準備して登ることにしています。ちなみに、高校山岳部の後輩の遭難死の経緯から、暗くなってからの下りをしないようにスケジュールには余裕を持って挑みます。

*「スケジュールに余裕」の部分、つい昨日の山行で危うく日没後下山になりかけました。。その記事はまた次回。

 

何が言いたいかというと、登山の知識・経験を持っている人と持っていない人の間では、登山のリスクに関する考え方が随分と違う、ということです。

知らないことについて、どれだけ危ないかor安全か、の判断は正確にはできないのです。

これは登山に限った話では無く、ビジネスにおいても同じことが言えると思います。大きな会社では、必ずしも経営者が個々の事業に関する知識を豊富に持っているわけでは有りません(中には例外も有りますが)。

新しい事業を立ち上げたいと思った人が、会社の経営者に「こんなビジネスをやりたいのですが」と言う場合、まず①そのビジネスをやることによる会社へのメリット、②そのビジネスをやる上でのリスク、③それら①と②を総合判断した結果、「やるべき」と判断できる、という3段構えで説明すると思います。

この中で②については、経営者は如何なる説明を受けても、自分の経験やカンを尺度に「これは危なそうなビジネスだ」と判断してしまいがちです。一度そう思い込んでしまうと、「こうやってそのリスクをもっと小さくしろ」とトンチンカンな指示をしたり、「やるべきでは無い」と強引に取りやめてしまうこともあるでしょう。

一般的に、リスクとは以下のように大別できると思います。

(1) "Unknown Known"

(2) "Known Unknown"

(3) "Unknown Unkown"

(1)は、本当は何が起きるかがわかる情報が(どこかに)あるのに、それを分かっていないケース。(2)は、何が起きるか分からないポイントがわかっているケース。(3)何がどんな形でいつ起きるか、そのリスクの存在自体が誰にも分からないケース。

(1)は、つまり私の妻のようなケースですね。自分が体験してみれば、「なんだ、たいして危なく無いんだな」或いは「なんだ、こんなに危険なんだ!」と分かるはずのものです。(2)は、例えばナイトハイクを例に取ると、事前に登山ルートのリスク情報(崖がある、道迷いしやすいポイントがある、熊の目撃情報がある、等)や、当日の天気やルートのコンディションに関する情報を集めて、対策と心構えをきっちりしておけば、リスクはゼロにはならずともかなり小さく出来ます。ちなみに、自動車保険や火災保険なんかも(2)に該当するリスクをヘッジするものですね(存在するリスクの種類と発生確率が過去の情報でだいたい分かるから保険料を試算できる)。(3)は、「分かっていないリスク」なので例えが難しいのですが、、近い例で行くなら「流れ星に人間が当たってしまうリスク」。これは、正確には「物理学的理論としては分かっているリスク」なのですが、「いつ、どこで、どんな大きさの流れ星が降ってくるか」分からないので、(3)に近いと思います。

私がそんなことがあり得ると知ったのは、小学生の頃に小説「怪盗ルパン」で、ある女性が大衆の面前で謎の死を遂げ、その死因が流れ星のかけらに当たったことだった、という話を読んだ時でした(今思えばすごいストーリーですね!)。

登山でもビジネスでも(2)のリスクに対して十分な準備と対策をして、新たな世界を探しにいく旅、と言えるのではないでしょうか。もちろん、(3)のリスクが「現実に起こってしまう」ことも考慮し、それが起こり得ることが予見された瞬間に「勇気ある撤退」をする覚悟、或いはもし起こってしまった時でも知恵を振り絞って事態を克服する知恵と勇気と決断力が優秀なアルピニスト・経営者に求められる力だと思います。

 

きっと、そういうことを突き詰められる人が、真の「プロフェッショナル」なんだろうなー、と思います。

 

最後までご覧頂きありがとうございました!