山と写真と毎日と

アラフィフのおっさんが趣味の登山・写真・日常を綴るブログ。

カメラが趣味になって気付いた日本メーカーの課題

こんにちは、GreenFielderです!

今回は、「初心者が上手くなった気になれる方法」の「その③」を書こうかと思ったのですが・・・ちょっと時間が必要なので、別のお話を。

 

先日、ネットに以下のようなニュース記事が掲載されてました。

gendai.media

ここに出てくるASML社は現在、半導体を製造する上で欠かせない半導体露光装置」なる機械を製造するオランダのメーカーです。

この企業、半導体露光装置の世界シェアをほぼ独占しているんだそうです。しかも年間50台程度が製造されていて、一台なんと3.4億ドル(ドル円レート140円とすると、476億円)!!そしてその利益率は28%!!!どんだけ儲かってるんだ!

しかも、現在は半導体需給が逼迫しており、半導体製造各社も製造設備を増強するべく設備投資に注力しているから、今後も堅調な業績が期待できるものと思われます。

 

でも、元々この半導体露光装置は、カメラメーカーとして世界的に有名なニコン・キャノンが世界シェアを独占していたそう。両社が「カメラメーカー」と思っていた皆さんには意外じゃないですか?(カメラに興味がなかったら、この記事にも目が止まらなかったかも・・)

何故ニコン・キャノンなのか。それは、この半導体露光装置において、「レンズ」が重要な部品だったから。両社はこのレンズを自社製造しており、レンズが必要なその他の製品(例えば顕微鏡など)の事業にも強みを持っていました。

レンズの品質が装置の品質に重大な影響を及ぼすのであれば、両社がこの装置の世界シェアを独占したのも頷けます。

では、そんな高品質レンズを自社製造する両社が、何故他社にシェアを奪われたのか。それは「自社製造」に拘ったからだ、と言うんです。レンズは言うに及ばず、その周辺機器やソフトウェアまで。どの企業も得意・不得意あると思いますが、不得意なところも含めて内製化しようとした、ということなんでしょうか。

更に、両社がこの半導体露光装置を中核事業とせず、「カメラの製造に経営資源を集中した、という経営判断も原因だ」とも有ります。私を含むカメラ・写真ファンにとっては有り難い話ですが、カメラのような消費財は競争に巻き込まれやすく(実際日本のメーカーが凌ぎを削ってますよね)、どんどん良い製品を出しているのに利益は上がらない、という状況に陥っているのではないでしょうか。

世界最高峰の技術を弛まなく追求している日本のカメラメーカーですが、決して会社の経営が順風満帆なわけでは有りません顧客満足度が高いと言われるオリンパスも事業譲渡などの憂き目にあってますよね。。

 

実のところ、半導体露光装置でのニコン・キャノンの話は、カメラの世界に限らず、日本の(特に大手)メーカーが陥ってきた、或いは陥っているシナリオだと思います。

過去の技術力・品質に拘り、全て内製化しようとし、不得意分野まで自社で取り込み失敗する、或いは開発が遅れて商機を失う。

パイの大きなマーケットで「売上増」と、それによる「規模のメリット」を追求するも、結局過当競争に巻き込まれていく。

日本のメーカーに勤めている皆さん、皆さんの会社はそういう企業風土・経営体質になってませんか?

私自身メーカーに勤めており、社内で今回のニコン・キャノンのようなストーリーは何度も聞いてきました。

そろそろ日本のメーカーも、「良いものを作り安く売る」から「顧客が求める価値を創造し適切な『バリュー』で売る」にマインドを切り替えていかないと、立ち行かなくなってしまうのではないか、と不安を覚える今日この頃です。